日本語の常用漢字の中には、日常生活で頻繁に使われるものから、あまり見かけないものまで様々です。その中でも「此」という漢字は、比較的珍しい部類に入ります。しかし、その成り立ちや意味、用法を知ることで、日本語の奥深さを感じることができるでしょう。本記事では、「此」という漢字について詳しく解説していきます。
此の成り立ち(語源)
「此」という漢字は、古代中国の象形文字に由来しています。この漢字は、もともと「これ」という意味を持ち、人間が指を指している様子を表しています。古代の文字は、実際の物や動作を象った形で表現されており、「此」もその一つです。指を指す動作は、何かを示す行為であり、そこから「これ」「ここ」といった意味が派生しました。
此の意味と用法
「此」という漢字は、現代日本語においても「これ」「ここ」といった意味で使われます。具体的には、以下のような文脈で使用されることが多いです。
- 此の場所: この場所、ここ
- 此の時: この時、今
- 此の物: この物、これ
また、古典文学や詩歌においても、「此」という漢字は頻繁に登場します。特に、和歌や俳句などの短詩形式では、文字数が限られているため、簡潔に意味を伝えるために「此」が使われることが多いです。
此の読み方・画数・部首
「此」という漢字の基本情報を以下にまとめます。
- 読み方: 音読み: シ、訓読み: これ、ここ
- 画数: 6画
- 部首: 止部
此を使った熟語・慣用句・ことわざとその意味
「此」という漢字を使った熟語や慣用句、ことわざはあまり多くありませんが、いくつか紹介します。
- 此岸(しがん): 現世、今生。仏教用語で、迷いや苦しみの多い現世を指します。
- 此の世(このよ): 現世、現実の世界。生きている間の世界を意味します。
- 此の上ない(このうえない): 最上級の、これ以上ないほどの。非常に優れた状態を表します。
此についてのまとめ
「此」という漢字は、日常生活で頻繁に使われることは少ないかもしれませんが、その成り立ちや意味を知ることで、日本語の奥深さを感じることができます。古代の象形文字から現代に至るまでの歴史を持つこの漢字は、指を指して何かを示す動作から「これ」「ここ」といった意味が派生しました。また、古典文学や詩歌においても重要な役割を果たしています。ぜひ、この記事を通じて「此」という漢字の魅力を再発見していただければ幸いです。


