北海道の郷土料理の中でも、素朴で懐かしい味わいを持つ「いももち」や「いもだんご」は、地元の人々にとって特別な存在です。もちもちとした食感とじゃがいもの甘み、さらにアレンジの幅広さから、家庭の味としても愛されています。本記事では、いももち／いもだんごの魅力に迫り、その成り立ちや文化的背景、地域性、作り方に至るまでを詳しくご紹介します。
いももち／いもだんごについて
「いももち」または「いもだんご」は、主に北海道で親しまれている郷土料理で、じゃがいもをベースに作られたもち状の料理です。名前の通り「いも（＝じゃがいも）」を「もち（＝餅）」のように加工しており、形状や味付けには地域や家庭ごとのバリエーションが存在します。
一般的には、ゆでたじゃがいもをつぶし、片栗粉を混ぜてこね、平たく丸めて焼き上げるというシンプルな調理法です。そのまま醤油や砂糖醤油を絡めて食べるほか、バターで焼いたり、チーズや海苔を合わせたりすることで、現代風のアレンジも楽しめます。
いももち／いもだんごの歴史と文化
いももちの歴史は、北海道開拓の時代にまでさかのぼります。明治時代以降、北海道では米の生産が難しく、主食としてじゃがいもが重宝されてきました。稲作が困難な土地柄の中で、じゃがいもを餅の代用品として活用する知恵から生まれたのが「いももち」です。
特に冬の保存食や子どものおやつとして親しまれており、地域によっては甘辛く味付けして串に刺して提供する屋台料理としても定着していました。また、お盆やお祭りなどの行事食として作られることもあり、家族や地域のつながりを象徴する食べ物としての役割も果たしてきました。
いももち／いもだんごの食材、特徴と主な伝承地域
主な材料は、北海道産の男爵いもやキタアカリなど、デンプン質の高いじゃがいもが使用されます。これに片栗粉を加えてもち状にするのが基本ですが、地域によってはもち米や小麦粉を少量混ぜることもあります。
味付けはバリエーションが豊富で、代表的なのは以下の通りです：
- 醤油や砂糖醤油で甘辛く味付けした焼きタイプ
- バターで焼いて洋風に仕上げるバターいももち
- 中にチーズを入れてモチモチ＆とろける食感にしたアレンジ
- 甘味として、あんこやきなこを合わせるデザート系いももち
伝承地域は北海道全域にわたり、特に農村部や寒冷地において家庭料理として根付いています。近年では、道の駅や物産展、居酒屋メニューとしても提供されており、全国的にも知名度が高まりつつあります。
いももち／いもだんごの作り方
いももちの作り方は非常にシンプルで、家庭でも手軽に楽しめます。以下に基本的な作り方をご紹介します。
- じゃがいもの準備：じゃがいも（男爵系）を皮付きのままゆでる、または蒸してやわらかくします。
- 皮をむいてつぶす：ゆでたじゃがいもの皮をむき、熱いうちにつぶして滑らかにします。
- 片栗粉を加えて練る：じゃがいも200gに対して片栗粉大さじ2〜3程度を加え、手でこねて生地を作ります。
- 形を整える：生地を平たい円形や小判型に成形します。
- 焼く：フライパンに油またはバターを引き、両面を中火で焼き色が付くまで焼きます。
- 味付け：仕上げに醤油・みりん・砂糖などで作った甘辛ダレを加えて全体に絡め、照りが出たら完成です。
アレンジとして、チーズを中に入れる、海苔で巻く、黒ごまを振るなどもおすすめです。冷凍保存も可能なので、作り置きにも最適です。
いももち／いもだんごについてのまとめ
いももち／いもだんごは、北海道の寒冷な気候や食文化から生まれた、素朴で栄養価の高い郷土料理です。じゃがいもの旨味とモチモチ食感が融合し、世代を問わず多くの人々に親しまれています。
昔ながらの伝統を受け継ぎつつ、現代風のアレンジも取り入れられ、今では北海道外でも人気を集めるローカルグルメとなりました。旅先での味わいとしてはもちろん、家庭でも簡単に再現できるので、ぜひ自分流のいももち作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
